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StaffTalkスタッフ閑談

先延ばし

▽50歳になった頃、「心穏やかに来世を受け入れる助走期間として、還暦までの10年間が重要に思えてならない」と書いた。還暦を過ぎた今、もはや先延ばしにできない。死を平然と受容できる平常心を求めて座禅まで参加した。何も考えずに心の中を「空」にする曹洞宗 (我が家の宗派) の座禅。心の中で問答を繰り返す臨済宗の座禅とは対照的で、この「空」の意味が分からなかった (「無」とは違う)。そもそも死の恐怖を克服したい欲求こそが煩悩だと、やっと気付いた。▽小学校時代の “お寺体験”。私と弟は10日間ほど知り合いの寺に預けられ、そこから学校に通った。日課は毎夕の「落ち葉掃除」。掃き清めても、翌日には枯れ葉が境内に落ちてくる。「2日に一度でいいのでは?」と先延ばしを願い出た私たちに、若い坊さんが柔和な笑顔で「心を掃くんだよ」と一言。毎日苦もなく俗事を続けるのが平常心。やがて魂は浄化されて往生できる。明日死のうが、百歳まで生きようが、人生の質は同じらしい。▽曹洞宗には厳しい修行も細かい制限もない。1日の少しの時間だけ、体調を整え (調身)、呼吸を整え (調息)、心を整え (調心) て、成仏した親族との思い出を慈しむことが最高の供養だとか。「こんな感じで行こうかな」と思い始めた、今日この頃。(SS) ▽子どもの頃から先延ばしが得意で、ラストスパートで頑張るタイプだった。夏休みが終わる頃になると、慌ててさっちゃんの家に行って、絵日記の天気を写させてもらっていた。大人になって、仕事に就くと、生活がかかっているので、ロケットスタートするようになった。それでも、やろうやろうと思っても、結局やらない、なんてことはよくある。▽先日、テレビを見ていたらTEDで「先延ばし」についての講演が流れていた。先延ばしクセのない人の頭の中には...

怖い

▽高校時代の書道教師Sは、山伏 (やまぶし) を思わせる大柄な体格、無造作に生やした髭 (ひげ)、怒り肩で強面 (こわもて)、相手を射抜く鋭い眼光 —— という風貌。それはまるで、宮本武蔵が『五輪書』(ごりんのしょ) を書き上げて、洞窟から這い出てきたような威圧感だった。「書に向かう前に、無念無想に近づくよう、瞑想から始めよ」「『白砂青松』『懐郷』『淡雪』をそれぞれ3回練習」といった指示が黒板に書かれているだけ。生徒の背後から手を取り、筆遣いを指導する時に、低い声で発する「止める」「跳ねる」「払う」「伸ばす」以外の言葉を耳にした記憶がない。一度だけ、クラスメートが耳に親指を当てて掌 (てのひら)...

応援

中間選挙直前。民家のヤードには支援候補者のサインボードが並ぶ。米国の政治への関わり方は日本とは違う。15年前の隣人は政治参加に積極的な70代の白人男性。選挙運動のボランティアが彼の家に集まり、談笑している光景が目に入った。「君の家の庭に支援候補者のサインボードを立てたい」 と彼が言うので、軽い気持で承諾したところ、その年を境に、両政党から選挙キャンペーンの小冊子が送られたり、応援を請う電話メッセージが増えた。元隣人の話では、支援政党の円形バッジ (通称:缶バッジ) を付けてレストランで食事をすると、同じ候補者を応援する店長が姿を見せて、料金を on the house にしてくれることも珍しくないという。米国では一人一人が政府と等身大で向き合う。18歳以上に選挙権を認める日本の改正公選法が3年前に成立した。高校での主権者教育は公平中立を重んじる日本では難しいと、教師をしている知人が嘆く。日本のマスメディアにも不偏不党の原則があるようだが、米国では新聞社が応援する候補者を社説で明らかにし、住民投票のガイドまで掲載する (公平中立どころか、日本なら世論操作)。それでも有権者は独自の判断で一票を投じる。そんな一歩進んだ民主主義が米国では確立されているようだ。...

熱中

 現在の私の風貌と体型からは想像できないだろうし、ましてや私の性格を知る人は誰も信じないが、20代後半の頃、趣味で始めたボールルームダンスに見境なく熱中していた。競技会には必ず出場し、個人レッスンに大金をつぎ込むのも厭わず、約3年間、生活費にも事欠くような、極貧生活を送る羽目になった。入賞して公共の場で踊る快感に取り憑かれた私は、大会用コスチュームを特注し、ラテンダンスには “ 葉型の銀ラメ ” をちりばめたワンピースで出場! 遠くから見ると、まるでウルトラマンの兄弟だ (私の父はそんな息子の姿を知らずに他界した。親孝行だった)。30数年が過ぎた今、ビデオを再生してみると、ダンスは所詮ビギナーの域を超えず、とても公表できる代物じゃない! (慚愧に堪えない自己嫌悪と冷や汗)。私はシアトルのダンススタジオに所属していたが、1980年代当時、世界的ダンサーを数多く輩出していたのはサンディエゴ (最高峰はロン・モンテス...

早合点

日本の旅先で『早合点』されたお話2題。▽家庭裁判所での相続処理が終わり、私は紅葉を眺めたくなり、そのままバスで湖へ出かけた。遊覧船に乗り込んだら、誰かが「何時に出航ですか?」と尋ねてきた。「1時15分ですね」と答えると、別の人から「2時には戻れますよね」と矢継ぎ早の質問攻め。さらに、若い男性が「ここでタバコ吸ってもいいですか?」と私に聞く。「何でオレに聞く?」と訝 (いぶか) りながらも、禁煙サインを指差すと「すいません」(ダジャレか?)。乗客が私に馴れ馴れしく接する理由が分かった。男の子が私に向かって「あ! 船長さんだ!」。家裁から直行した私の姿はスーツにビジネスバッグ。観光客とは思えないほど完全に浮いていた。▽人気観光列車『ゆふいんの森』の指定席をどうにか入手できた。駅員さんから「窓側の席です。団体さんとご一緒になります」と言われて乗車したら、全員が韓国からのツアー客だった。私の席から右へ通路を挟んだ3人はファミリーらしい。彼らは車掌さんに写真撮影を願い出たようだ。それとは知らずに顔を上げていたら、カシャリという音がした。その写真は「4人家族」になっていたはず。車内改札でも「4人」がほぼ同時にJRパスを提示し、車掌さんが私に「カムサムニダ 」。完全に “御一行様” の一員になっていた。 (SS) ▽私の周りには早合点や早とちりをする人が多い。母は、WiFiを勝手にウィーフィーと呼んでいたし、父の寝癖を直そうとして殺虫剤を噴射してしまったりもした。兄は、容姿に劣等感を持っているアルバイトの学生さんに 「人間、顔じゃないよ」と言おうとして「人間の顔じゃないよ」と言ってしまったらしい。そう言えば、有給を取っている日に間違えて出勤してきた後輩もいた。「食べ盛りですもんね~」のつもりが「高校生くらいの男の子って、食べ頃ですもんね~」と保護者を驚かせた教師歴30年の友人は、忙しさにますます拍車がかかっている。姪のこどもは法事の時、お坊さんに向かって「ねぇねぇ、お地蔵さん」と真顔で呼んでいて、焦った。姪はリップとスティックのりを間違えて使ったり、父は眼鏡をかけたまま、眼鏡を探し回ったことが何度もあった。そういう自分も、携帯をかけながら携帯を探し回っている。▽この早合点タイプの人間は、完璧さ、シビアさとは無縁な存在で、どこか人間臭くて、時には笑いを誘う無邪気な人が多い。「一緒にいるとなんだか楽しい」...

妥協

サンディエゴ・ユニオン=トリビューン紙に連載中の人生相談シンジケートコラム “Dear Abby” を毎日読んでいる。ストレートに主張するアメリカ人とは思えないほど、人間関係の悩みでは日本人の気配りに似た相談が多く、回答も不要な軋轢 (あつれき) を避けた和合優先の解決法を提示している。<Q:毎朝8時頃、近所の児童が大笑いしながら遊ぶ声が響きわたり、病気の夫が目を覚まして困っている。隣人関係を悪化させない苦情の伝え方は?><A:早朝や夜間でない限り、親は子供を外で遊ばせる権利がある。耳栓をして眠りにつくか、引っ越しを考えましょう>という妥協的な回答。諍 (いさか) いを望まないのは万国共通か。一方、離婚、転職など、人生の決断を迫られる相談には妥協を許さない、切れ味鋭い口調に変わる。<Q:横暴な夫と別れたいが、生活を考えると二の足を踏む><A:不満 (破綻している結婚生活)...

私の流行語

▽“Clueless” をよく使う。情報不足で理解が進まないと自虐的に呟 (つぶや) いたり、トンチンカンな相手にも心の中でこの言葉を繰り返す。Clueless は90年代初めに誕生した言葉で “He hasn’t got a...

私には子供がいない。親業 (おやぎょう) という成長過程の欠落している者が言うのも憚 (はばか) られるが、息子にとって父親は終生の否定的存在であり、その生き方を100%受容できないというのが本質だと思う。父も息子を見て、「自分の分身」と思える領域と「得体の知れぬ不気味さ」に複雑な感情を抱くのでは——。 私と父は互いに反目しないまでも、腹を割って何でも話せる相手ではなかった。ギリシャ悲劇『エディプス王』を引用するまでもないし、山岡荘八が描く柳生宗矩 (むねのり) と十兵衛の凄絶な父子関係を賞賛するつもりもないが、基本的に父と息子はのっぴきならない “敵対関係”...

2019年の予感

アマチュア占星家SSが勝手に予測する新年の世相。Politically correct を死語にした大統領の登場で、差別が是正に、独善が自尊の意味に変わった (これは、もう戻らない)。対話も不可能な深い分断。その中で、2019年12月2日まで、幸運と繁栄を象徴する木星が最大のパワーを与えられる人馬宮を進む。「分断」への絶望から、独自の信念/信条を唱える団体が数多く誕生する「分立」の時代へと移行する。多極化が進むも、木星と吉座相を形成する惑星が乏しく、一年を通して混沌状態が続く。2019年は新しい権威が確立する過渡期で「個人軸」が求められる時。自分の原点/行動原理を明確にしておかないと、時代の大波に呑 (の) み込まれる。ネットの影響力が最大限に発揮され、地球規模で新勢力のパワーが拡大。一方、米中の覇権争いは情報戦争の激化となって周辺国を巻き込む (白羊宮天王星 □ 磨羯宮冥王星+磨羯宮土星)。スポーツ界ではスーパースターがキラ星のごとく出現。2019年のラッキーカラーは紫...

食べる

食べる行為は人生に深い影響を与える。▽谷崎潤一郎が人間の性 (さが) を礼賛し、耽美的な小説創作に人生を捧げる決意を固めさせた食べ物 —— それは少年期に味わった玉子焼きらしいのだ。幼い頃に家業が傾き、住み込みの家庭教師をしながら旧制中学に通学していた谷崎は、食卓に出された「厚焼きの玉子焼き」の贅沢な味に感動し、自分の使命は社会の悲痛さよりも、玉子焼きの甘味のように、人間の愛 (いと) おしさ、美しさを表現し、人々を豊潤な至福の境地に導くことだと悟ったという。▽45年前、福島から東京の私立高に進学した私は一人暮らしを始めた。食事の世話をしてくれる叔母さんが長期入院してしまい、毎晩、近所の和食屋のカウンター席で夕食を取ることに。味噌汁はいつも冷めていたが、大人の中にいる高校生が「温め直してください」 とは言えず、切ない思いで箸を運んでいた。今でも冷えた味噌汁はトラウマになった哀しさが蘇るので、すぐに温め直す。▽父との “最後の晩餐...

もし…だったら

▽氷点下30℃に達するワシントン州東部の冬。アイスバーン (路面凍結) に車輪を取られ、突然スピンを開始。交通量が少なく、次第に減速し、奇跡的に車両後部を中央分離帯に軽く当てて止まった (もし、他車と衝突していたら…)。▽9.11テロ後、不気味なEメールが届いた。「バイオテロが始まる。青色の封筒に注意しろ」。迷惑メールとして消去したが、数日後、フロリダ州の地方新聞社に炭疽菌が郵送されて職員が死亡する事件が発生 (もし、会社に送られて、知らずに開封していたら…)。▽クリスマスの夜。オフィスで仕事をしていると、階下の別会社で何かが破壊される音がした。銃を携えた複数の強盗が侵入していた (もし、私たちが標的になっていたら…)。▽喫煙していた30年ほど前。ラテン系経営者のミニ売店でタバコを買おうとしたら、短銃を持った男が押し入り店主に銃口を向けた。店内は店主と私だけ。後ずさりして固まっている私に “Don’t do anything,...

北米各地を車で旅した若い頃は、フリーウェイよりもローカルの州道が好きだった。オレゴン州道97号線を北上し、ワシントン州道2号線でカスケード山脈を通り抜け、カナディアンロッキーの “氷河ハイウェイ” を涼風に吹かれて飛ばしていく道中は、まるで風景画の中をドライブしている気分。景観は劇的に変化するし、広葉樹と針葉樹の分布境界にも気付かされて面白い。一方で、ローカルハイウェイでは想定外の事態にも遭遇する。ネバダ州道95号線でファロン海軍航空基地の近くを旅行中、1機の戦闘機 (ホーネットか?) がバックミラーに映し出された。軍事演習場から離れた公道上空にもかかわらず、その機体は低空飛行を始めたかと思うと、私の車の上を轟音とともに掠 (かす) め去り、再び高度を上げる。すると、はるか先の上空で旋回し、今度は正面から同じことを繰り返して姿を消した。イラク戦争時に、米軍機が敵の装甲車をピンポイントの精度で撃破する映像を CNN で何度も見たことがあるが、それこそ私の車を標的にして、機銃掃射の空射シミュレーションをしていたに違いない。私は逃げることもできず、恐怖と困惑の真っ只中に。田舎道をトボトボ走っている中古の民間車を相手に攻撃練習をする非常識ぶり。どういう了見なのかと腹も立った。...

数字

▽ 数値化される人間 (スコア化される人格)=衝撃のNHK特集。中国政府は個人データを総集して、国民の社会的信用度を厳格に格付けしている。“クレジットスコア” は概してローンやクレジットカード申請に影響する数字。ところが中国では、個人の信用度を最低350点から最高950点までの数字で評価し、高スコアなら貸付金利や病院の受診条件が優遇されるなど、日常生活で多くの特典が与えられる。一方、低スコアだと航空券予約や出会い系サイトへの入会まで拒絶される。これは中国ならではの人民監視政策? 世界全体で成功者のゲノム解析とAIによる個人評価が徹底化され、優れた可能性を秘めた人物を早期に割り出す「選民社会」が出現する余地はある。もはやAI論議は人間 vs. 人工知能という対立構図じゃないかもね。人間界の淘汰を前提に、一人一人が未来社会で幸福を獲得する道を模索すべきと若い歴史学者 (Y・N・ハラリ) が論じていた。▽数字の隠し芸...

頑固

一度決めたことは変えたくない性分だ。最近、その傾向に拍車がかかり、加齢とともに「ガンコじじい」路線をまっしぐらに 突き進みそうなので、何とかしなければならない。▽夕暮れ時のウォーキングを始めて15年。3.5マイル (約5キロ半) / 75分のルートを毎日歩く。仕事の都合で時間帯が午後8時以降にズレ込むと「 一緒に食事できない」と妻から苦情が出る。私「健康寿命を伸ばすための有酸素運動。サボリ癖が付くので1日も休めない」。妻「 嵐だろうが、雷雨だろうが、意地になって歩くのは頑固というより、もはや病気。XX通信社さんから頂いた紅白の傘を差して歩くのだけはヤメよう」。 ▽賞味期限切れの食品に敏感になり、冷蔵庫を覗 (のぞ)...

内緒

▽今年3月、FBI や NSA (国家安全保障局) が令状なしで、無制限に個人データにアクセスできる権限を与える「CLOUD法」が成立した。官憲側は内緒にしているが、テロ監視強化として、米国内に潜伏する “危険人物” を割り出すプロファイリングを徹底するらしい。ネットの検索記録やオンライン購入履歴、電話やメールで頻用する言葉から、その人物の行動様式が推測できる。とりわけ “危険ワード” に指定されている単語をSNSで多用していると、破壊行為や殺人計画を意味する暗号と疑われる。その根拠は知らないが、「サンディエゴ」や「サーフィン」も...

ピンチ

1993年にサンディエゴで世界少年野球 (WCBF) が開催された時の話 (古い話で恐縮です)。野球ファンの私は、日米のスーパースターが集まる前夜祭ディナーに出席し、WCBF設立者の王貞治、ハンク・アーロン両氏のほか、ジョー・ディマジオ、デューク・スナイダー、掛布雅之、柴田勲など往年の名選手を前にしてハイパー状態になっていた。各テーブルに1人ずつOB選手が加わると聞いてワクワクしていたら、登場したのはビリー・ノース。陽気な彼はワールドシリーズのチャンピオンリングを私の指にはめてくれたり、ホロ酔い加減で “♬Take Me Out to the...

驚いたこと

日本に家墓を持つ人は「墓守」 の継承が現実問題として存在する。まして私のような直系長男となると無視できない。私たち夫婦に子供がいないので、近い将来、先祖の「永代供養」 あるいは「墓じまい」 の決断を迫られる。永代供養は1霊30万円〜200万円が相場らしく (+ 離檀料)、先祖の骨壺数から考えると論外になる。一方、少子化という現実から活況を呈しているのが墓じまいビジネス。私が見つけたのは、墓石撤去+散骨の場合、4人の遺骨なら約50万円というお手頃価格。驚いたことに、遺骨を形見としてアクセサリーに加工してくれるサービスもある。さらに驚いたのは、残骨灰の所有権を持つ自治体が故人の金歯・銀歯などの有価金属を業者に売却し、収益を歳入にしているという事実。今の時代、墓じまいが経済的にも社会還元の見地からも合理的な方法かも。ともあれ、自分の死後に家墓が無縁墓として放置されてしまうのは避けたい。「葬送」 と 「処分」 の境界線を明確にして、先祖の尊厳が失われない賢明な選択をしたい。...

チャレンジ

▽東日本大震災の発生から丸1日ほど、母と弟が暮らす福島市の被災状況を知ることはチャレンジングな作業だった。当然だが、TVやネットニュースが克明に報道していたのは大津波の被害に見舞われた地域。市民からの「福島市は火事も起きていません、大丈夫」というツイッターを信じるほかはなく、翌日、弟から「2人とも無事」との電話を受けた時は安堵感で全身の力が抜けた。▽4年後、サイマル配信による有料サービス「radiko プレミアム」を知った。日本全国のラジオが聞けるので、緊急事態でも福島の情報をリアルタイムで得られる。入会しようとしたら、IPアドレスが異なるので国外からはアクセスできないという。さあ、どうする? ▽ここで諦めずにチャレンジするのが海外生活者 (笑)。要するに、外国からのアクセス規制は日本のエリア内のサーバーを経由することで問題解決。日本にあるPCに遠隔アクセスすれば、米国からもVPN接続ができて聴取可能 (でも、面倒すぎる!)。ようやくIP共有型の実験的なVPNサービス (無料の海賊版) を探し当て、聞けるようになった。VPNのビジネス化が加速すると海賊版は消失し、今年からは月額¥1,000ほど支払ってサービスを受けている。時間の経過とともにチャレンジングな状況も大きく変わる。(SS) 価値あるアイディアを広めている非営利団体TEDの動画「Try something new...

2017年を振り返って

1年を振り返ると、個人的には生活上の変化に乏しい年だった。日常の些事を細かく書いてもつまらないので、サンディエゴの住民として12か月を回顧してみたい。2017年はNFLチャージャーズのロサンゼルス移転 (1月) で幕を開けた。半世紀以上の歴史を刻む本拠地を捨てたチームに市民は失望し、空虚感とともに新年がスタート。カリフォルニア州全体で「排ガスゼロ」の車販売 (14%以上) が義務化されたことから、今年は「EV元年」と呼ばれた。SDG&Eと日産、BMWが提携してEVの大幅割引 (8〜9月) が実施されたが、庶民感覚では「セレブ向け」との印象がまだまだ強い (テスラの最新型 EV...

2018年への期待

(当たろうが当たるまいが)アマチュア占星術家SSが勝手に予見する2018年の世相。年明けの木星は天蠍宮を順行後、3月9日〜7月10日の逆行期間を経て、11月8日まで同じ座宮に長く留まる。昨年の木星は “風の星座” の天秤宮にあり、人々の交際範囲を広げたが、精神的な繋がりは希薄な一面があった。“水の星座” の天蠍宮を進む今年の木星は、権威やステータスを離れた人間同士の絆を深めるという象意があり、共感、慈悲、寛容の精神を極限まで求めるパワーを持つ。表出されない心象世界の興味が高まることから、霊的/超自然的な事柄へのブームが起こりそう。今年は木星と他の惑星との「吉座層」が多いのも特徴。テロの脅威は消えないまでも緩和される傾向が見られ、極度の対立構図の中で動きが取れない国際関係でも、意外な展開から破滅的結末を回避する機運が到来するかも (天蝎宮木星*磨羯宮冥王星)。医療技術の向上と成果に目を見張る1年にもなりそう (天蝎宮木星△双魚宮海王星*磨羯宮冥王星)。カラーアナライズ社 PANTONE が発表した2018年のトレンドカラーはウルトラバイオレットだが、占星術師の多くは “深い共感”...

マイブーム

私には秘密にしていた趣味がある (倒錯趣味ではありません)。いささかマニアックな行動なので、公言するのを憚 (はばか) られた45年来のマイブーム。実は「電波塔」に異常な愛着がある。中学生の頃、地元にあるラジオ送信所を目指してサイクリングに出掛けては、小高い丘に建つ塔を真下から見上げて、至福の境地に浸っていた。今でもドライブ中にラジオの送信塔を見つけると、必ず近くまで行って、アンテナを背景に2〜3枚自撮りする。何が面白いのかは説明できない。ラジオ少年だった自分には、電波塔に一種のノスタルジアを感じるのかもしれない。ラジオ送信塔の主流は先端に容量環 (円形の電線) が付いた「トラス鉄塔」か「単独自立型タワー」。偏執的かもしれないが、今では幻の塔と言われる「T字型アンテナ」との “再会” を果たしたいと夢見ている (それこそマニアの証明か?)。電波塔ではないが、送電塔に魔力を感じた少年が...

習慣

温水洗浄便座にして20数年。妻から 「座って小用をするように」 と言われたが、長年の習慣を変えられず、当初は内緒で “立ちシ○○” をしていた。ところが「音に距離感がある」と疑われ、たちまちバレてしまった。“座りシ○○” ならせせらぎの静かな水音のはずなのに、滝のような響きだったと咎められた。立ちシ○○の弊害は (妻が言うには) 飛沫が周辺に散ってセンサーが故障したり、壁紙が黄ばんだり、フローリングは変色するし、コンセントの金属部も錆びてくる等々。果てはトイレのリフォームが必要になると脅され (大袈裟だろう?)、トイレ掃除を続けながら、徐々に座りシ○○を習慣化させていった。清潔で便利な洗浄便座なのに米国で普及していない。「文化的先進国アメリカ」...

気になる

▽日本滞在中、喫茶店に寄ることはなくなった。日本特有の丁寧すぎる応対が気になりすぎて、リラックスできないのだ。ホテルルームでの「一人お茶」の方が寛げる。数年前、東京の喫茶店に入ったら「こちらカフェオレになります」ときた。丁寧な物言いかもしれないが、私には「このカフェオレ、それほど風味がなく、お勧めできる商品ではないのですがお持ちしました。一応カフェオレです」と言われたような気がした。別の店では「ご注文はアメリカンでよろしかったでしょうか」とおうむ返しに問われた。「注文はアメリカン1杯ですか? しぶちんですね」と皮肉られたような胸さわぎ。婉曲 (えんきょく) 的な謙譲には否定的ニュアンスが漂う。今どきの喫茶店の接客事情は知らないが、やはり気になる。▽その昔、サンフランシスコの中華街を観光中、放置していた虫歯が痛み出し、やがて激痛に襲われ、たまらず『牙科』のサイン目がけて飛び込んだ。重度の虫歯のようで、先生と助手が私の口の中を覗き込み、中国語でヒソヒソと話している。気になって仕方がない。少なくとも私の虫歯をネタに笑うのだけはヤメて! 言葉の壁の恐怖、ここにあり。 (SS) ▽先日、大型ハリケーン「イルマ」がカリブ海の島々やフロリダ州に大被害をもたらした。なんで「イルマ」なの?と気になってググってみた。その名前は、ハリケーンセンター (NHC) が用意していて、6組の名簿リストを6年周期で使っているとのこと。被害が甚大なハリケーンになった場合は、永久欠番みたいにその名前をリストから外すらしい。昔は女性の名前だけだったが、男女同権に反するということで1979年から男性の名前も使用されている。▽米大統領には核兵器の発射コード (通称:ビスケット)...

私の名場面

荒波で有名な福島県いわき市の波立 (はったち) 海岸。平安時代に創建された海上鎮護を願う寺と、海に突き出た「弁天島」の朱塗り橋に赤色の鳥居が目を引く。この海岸で起きた、遠い昔の記憶に残る私 (たち) の名場面。・・高校1年の夏休み。ここで私は友人2人とキャンプをしていた。低気圧の影響で不意を突く高波が押し寄せ、風光明媚な小島に架かる弁天橋と鳥居も潮騒の中にあった。私とT夫はテントの中で警戒していたが、H彦は忠告を聞かず、浅瀬でカヌー型のゴムボートに乗っていた。「波が来るぞ!」。誰かが叫んだ。ややあって、黒いうねりが無言の迫力で押し寄せ、一瞬のうちに海岸が洗い流された。私とT夫は難を逃れたが、H彦の姿はなく、カヌーだけが波間に漂っている。「H彦~!」。叫び続けるも応答なし。憐れなH彦よ、15年の短い人生を終えたか・・。涙の中、昼食代2日分¥1,300の返済をしつこくH彦に催促していた自分の心の狭さを詫びた。その直後だった。眼鏡を飛ばされ、小指を骨折し、前歯を1本失ったH彦が「海の家」の床下から這い出てきたのは。周りの人々から拍手と歓声が上がった。雲間から差し込む神々しい夕陽を浴びて、3人は生きている喜びに言葉もなく抱き合っていた。やはり借金は返してもらおうと思った。  (SS) ▽子どもの頃、福島の田舎から千葉に引っ越した。開業したばかりの東京タワーの下で家族写真を撮った。セピア色した写真の中で、父も母も祖母も兄も私も笑っている。新幹線が走り、オリンピック、ビートルズ、フラフープ、だっこちゃん、力道山・・・、昭和30年代、日本も我が家も元気いっぱい、キラキラ輝いていた。▽学生時代、ワンゲル部に所属していた。初めての山行は岩場の急登 (きゅうとう) が続く至仏山 (しぶつさん)...