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米司法省、アップルを提訴 独禁法違反、iPhone

2024年3月21日 米司法省と16州・地域の司法長官は3月21日、アップルがアイフォーン  (iPhone) の支配的地位を利用して価格を吊 (つ) り上げたり、競合他社を排除したりしたとして、独占禁止法 (antitrust law=反トラスト法) 違反で提訴したと発表した。 今回の訴えが認められた場合、アイフォーンを中心に利用者を囲い込んで経済圏を築いてきたビジネスモデルが打撃を受ける。 アップルは訴訟内容について「事実と法律の両面で間違っており、力強く対抗する」と争う姿勢を示した。 司法省は、アップルは競合他社のメッセージアプリやスマートウオッチなどがアイフォーン上で十分に機能しないように妨害し、消費者の選択肢を奪っていると主張。 また、通信から決済まで多様な機能を持つ「スーパーアプリ」の成長を阻害することで、アイフォーンから他のスマートフォンへの乗り換えを難しくしたとも指摘した。 アップルは声明で「司法省が勝訴すれば、人々がアップルに期待する技術を創造する能力が損なわれる」と反論した。 司法省などはこれまでに、検索サービスなどをめぐってグーグルを反トラスト法違反で提訴。 米連邦取引委員会 (Fair...

中道団体、第3極目指す 大統領候補4月に決定

2024年3月9日 米国の中道派政治団体「ノーレーベルズ (レッテルなし組織)」は3月8日、11月の大統領選に向けて第3極の存在となることを目指し、候補擁立を進める方針を固めた。 4月に正副大統領候補を決めたい考えだが、最終的に適切な候補が見つからない可能性もあるとしている。 ワシントン・ポスト紙が報じた。 2大政党の民主、共和がそれぞれバイデン大統領とトランプ前大統領を候補に2020年大統領選に続く再対決の構図が固まる中、世論調査では多くの有権者が二者択一に好意的な見方をしておらず、ノーレーベルズは不満の受け皿を目指す。 同団体は3月8日に関係者約830人がオンラインで会合を開いた。 2大政党の一方から大統領候補を、もう一方から副大統領候補を擁立し、超党派の組み合わせにする方向だ。 民主党は、ノーレーベルズが候補を擁立すれば、勝敗を左右する一部の激戦州でバイデン氏の票を奪うと懸念している。 民主党を離党し、無所属になったアリゾナ州選出のキルステン・シネマ上院議員が次期上院選への不出馬を表明しており、ノーレーベルズから出馬する可能性があるとみられている。 ウェストバージニア州選出の民主党中道派ジョー・マンチン上院議員の擁立論もあったが、マンチン氏は2月に出馬見送りを表明。 ノーレーベルズは共和党指名争いでトランプ氏に食らいついたニッキー・ヘイリー元国連大使にも秋波を送ったが、ヘイリー氏側は「興味はない。 共和党のレッテルに満足している」としている。 メリーランド州の前知事で共和党のラリー・ホーガン氏も取り沙汰されたが、上院選で議席を狙う。   (2024年4月1日号掲載)

バフェット氏、株高に警鐘 「カジノの様相」に警戒感

2024年3月16日 「投資の神様」「オマハの賢人」と称される米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏 (93) が、歴史的な高値圏にある米国の株式相場を「カジノ的」と指摘して話題になっている。 ニューヨーク株式市場 (NYSE) のダウ工業株30種平均が史上初の40,000ドル台に迫る中、急ピッチの株価上昇に警鐘を鳴らす。 2月下旬に公表した毎年恒例の「株主への手紙」 (Buffett’s annual letter to...

生成AIブーム象徴、株価3倍に エヌビディア、収益急拡大

2024年3月8日 半導体大手エヌビディア (NVIDIA) の収益が急拡大している。 「チャットGPT」に代表される生成人工知能 (AI) ブームの恩恵を受ける企業の象徴として投資家から成長力への期待が高まり、株価が1年間で3倍以上に上昇し、純利益は8倍強に達した。 半導体製造装置を手がける日本企業を含め、半導体やAI関連企業の株価を押し上げている。 株式の時価総額は1兆6,000億ドル (約240兆円) を上回る水準で推移し、一時はグーグルの親会社アルファベットやアマゾン・コムを上回り、米企業としてマイクロソフト、アップルに次ぐ3位に浮上した。 エヌビディアは1993年に台湾出身のジェンスン・フアン最高経営責任者 (CEO) らが創業し、カリフォルニア州サンタクララに本社を置く。 自社で生産せず、台湾積体電路製造...

日鉄のUSスチール買収、政治に翻弄 大統領「懸念」表明、選挙優先、保護主義競う

2024年3月15日 大統領選という最大政治イベントを前に、同盟国で競争力を高めるはずの鉄鋼大型再編計画が暗礁に乗り上げた。 バイデン大統領は日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール (U.S. Steel/本社:ピッツバーグ) 買収へ反対を表明。 激戦州をめぐるトランプ前大統領との労組票争奪戦は保護主義の競い合いとなり、選挙優先の姿勢が日本に飛び火した。   ▽秋波 「USスチールは国内所有が不可欠だ」。 バイデン氏が3月14日に公表した声明はわずか3つの文章で「反対」も「阻止」の文言も入っていなかった。 それでも、労組へ秋波を送る狙いは十分に表れていた。 11月の大統領選で再選を果たすには、接戦が予想される激戦州での勝利が欠かせない。 USスチールが本社を置くペンシルベニア州もその一つ。 2012年まで6回連続で民主党候補が制したが、2016年は共和党のトランプ氏、2020年は民主党のバイデン氏が勝ち、大統領選結果に直結した。 バイデン氏にとって買収に反発する全米鉄鋼労働組合 (USW) は取りこぼしが許されない票田だ。 トランプ氏が1月に買収阻止と発言した時点で選択肢は限られていた。 同日にはデイビッド・マッコールUSW会長に対し、鉄鋼労働者を支援すると電話で直接念押しした。   ▽暗躍 日鉄とUSスチールの買収を争ったライバルの暗躍も指摘されている。 ウォールストリート・ジャーナル紙によると、昨年の買収合戦に敗れた米鉄鋼大手クリーブランド・クリフス (Cleveland-Cliffs Inc. /本社:クリーブランド)...

第96回アカデミー賞、稀に見る激戦の年 背景にストライキや多様化、米国外の作品健闘

2024年3月15日 ロサンゼルスで開かれた第96回アカデミー賞は、原爆開発者の半生を描いた『オッペンハイマー(Oppenheimer)』が作品賞など7冠に輝いた。 計13部門の候補に選ばれていた注目作の圧勝に見えるが、昨年実施された俳優と脚本家のストライキや、ハリウッドで進む多様化を背景に、世界の記者の目には「稀 (まれ) に見る激戦の年」と映っていた。 
米映画サイトと契約するベテランの男性記者は「予想が難しかった」と振り返った。 「ストの影響で大作が少なく、年齢制限がある映画や芸術性の高い作品が台頭して、審査基準が読みにくかった」 *  *  *  *  *
 主演、助演の両女優賞の予想は、各メディアで特に困難を極めた。 主演賞は『哀れなるものたち (Poor Things)』のエマ・ストーン、助演賞は『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ (The Holdovers)』のダバイン・ジョイ・ランドルフが獲得したが、記者からは「米先住民の血を引くリリー・グラッドストーン (『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン...

共和「トランプ党」鮮明、圧力、排除、専横加速 最高裁出馬資格認める、スーパーチューズデー圧勝

2024年3月6日 11月の大統領選の共和党候補指名争いで15州の予備選などが集中した3月5日の天王山スーパーチューズデーは、トランプ前大統領 (77) が14州を制して圧勝した。 カリフォルニア州でも勝利を手にした。 ヘイリー氏は選挙戦からの撤退に追い込まれた。 トランプ氏の候補指名が確実となり、民主党の現職バイデン大統領 (81) による本選での再対決の構図が事実上固まった。 トランプ氏は意に沿わない党幹部に圧力をかけて退任に追い込み、親族と挿 (す) げ替えようとするなど、党の支配を強めている。 異論を唱える人物を排除し、専横の度合いが増す「トランプ党」化が鮮明になっている。   ▽掌握 連邦最高裁は3月4日、トランプ氏の大統領選出馬資格を認める判決を出した。 お墨付きを得たトランプ氏はフロリダ州の私邸で「結束に向けて大きな前進だ」と演説し、自身の下で結集するよう米国民に呼びかけた。 自身をめぐる訴訟を逆手に取って国民の注目を集め、1月の初戦アイオワ州党員集会で完勝。 最大のライバルとみたフロリダ州のロン・デサンティス知事潰 (つぶ) しに成功し、その後も連勝を重ねた。 唯一の対抗馬ニッキー・ヘイリー元国連大使をスーパーチューズデーで突き放して圧力を強めた。 並行して掌握を狙うのが、大統領選の資金集めを調整する共和党全国委員会だ。 資金集めが不十分だとしてロナ・マクダニエル委員長に圧力をかけ、辞任表明に追い込んだ。 後釜にノースカロライナ州共和党委員会のマイケル・ワトリー委員長を推薦。 自身が敗北した2020年大統領選は不正だったとの主張に追随する人物だ。 全国委の共同委員長に次男の妻で元テレビプロデューサーのララ・トランプ氏を就けることも画策。 刑事や民事の訴訟をめぐる巨額費用を党予算から捻出するのが目的とみられる。   ▽終焉 トランプ氏はバイデン民主党政権を目の敵にし、自身の息のかかった共和党議員に意趣返しをするよう仕向けている。 共和党が多数を占める下院は2月、南部国境から流入する不法移民の急増に対応できていないとして、アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官を弾劾訴追した。 共和党若手ホープのマイク・ギャラガー下院議員が、報復の連鎖を招く弾劾は「パンドラの箱を開ける」として造反すると、トランプ氏を熱烈に応援する勢力「マガ...

ウクライナ侵攻2年、解決策示せず 国連事務総長「時代遅れの組織」

2024年3月1日 国際平和や協調の役割を期待される国連が、開始から2年を迎えたロシアのウクライナ侵攻に解決策を示せないままだ。 大国の米ロの対立が背景にあり、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突解決にも存在感を示せていない。 国連のアントニオ・グテレス事務総長は「時代遅れの組織」と限界を吐露し、改革を訴える。   ▽無力感 「これほど大規模な悲しみを目にしても自分には止める力が無い」。 2月8日の記者会見でグテレス氏は、ウクライナやガザでの戦闘終結に向けた役割を国連が果たせていない状況に悔しさを滲 (にじ) ませた。 記者からは国連への信頼が失われているという指摘まで上がった。 「機能不全に陥っており、改革が必要だ」。 グテレス氏は半ば開き直るように訴えた。 第二次大戦を防げなかった反省から、国連は国際平和と安全維持を目的に1945年に設立された。 加盟全193か国が参加する総会の勧告に強制力はない。 事実上の最高意思決定機関は戦勝国の米国、英国、フランス、ロシア、中国の5常任理事国と、任期2年の選挙で選ばれる10非常任理事国から構成される安全保障理事会だ。 安保理の決定には全ての加盟国が従わなければならない。 安保理では、1国でも反対すると決議案が否決される「拒否権」を持つ常任理事国が大きな影響力を持つ。 ウクライナ侵攻後、安保理は100回以上の関連会合を開催してきたが、非難決議すらロシアの拒否権で採択できていない。 ガザ衝突では、米国がイスラエルを擁護。 拒否権を手に、ウクライナ侵攻では米国がロシアを、ガザ衝突ではロシアが米国をそれぞれ糾弾し、非難の応酬が続く。   ▽切り札 グテレス氏だけでなく、日本やアフリカ諸国など、各国から安保理改革や総会の影響力拡大を求める声は上がっている。 しかし、国連憲章の改正には、常任理事国を含む加盟国の3分の2の批准が必要で、実現の見通しは立たない。 「改革派」が切り札と期待するのは今年9月に国連本部で開催する「未来サミット」だ。 国連設立75周年の2020年から4年がかりで計画されている、世界の将来を左右する安全保障や地球規模の課題などを話し合うイベント。 2045年の設立100周年に向けた行動指針「未来のための協定」の採択を目指す。 このサミットは、ウェルビーイングを中心として「BeyondGDP」をキーワードに、経済の新しい枠組みであるWell-being Goals (WBGs) に焦点を当てることが特徴となっている。 協定作成に関わる外交筋は「安保理などの改革の交渉開始を具体的に協定に盛り込み、常任理事国も改革へ向き合わざるを得ない状況に追い込みたい」と期待を込めた。 *  *  *  *  * ▪︎ 国連未来サミット (Summit of...

核物質密輸未遂で邦人起訴 NY連邦地検、プルトニウム検出

2024年2月23日 ニューヨーク連邦地検は2月21日、ミャンマーの反政府組織との仲介役としてウランや兵器級のプルトニウムを含む核物質の密輸を企てたとして、大陪審が日本人の男を起訴したと発表した。 捜査の過程で男らが提示したサンプルから実際にプルトニウムなどが検出されたという。 地検は「ヤクザによる国際犯罪組織」の犯行だとしているが、具体的な組織には触れておらず実態は不明。 起訴状などによると、男は宇都宮市出身の海老沢剛 (えびさわ・たけし)。 2020~22年、武器と麻薬の密売業者を装う米麻薬取締局 (DEA) の囮 (おとり) 捜査官にミャンマーの反政府組織との取引を持ちかけた。 ウランや兵器級のプルトニウムをイランに密輸し、見返りに武器を入手しようとしたとされる。 当初はウランを薦めたが、捜査官が協力者をイラン軍高官と偽って紹介すると、より「強力」だとしてプルトニウムを提案。 2021年5月には反政府組織リーダーが要求する地対空ミサイルなどの武器リストを捜査官に提示し、組織が核物質を提供する見返りに武器を受け取りたいとの意向を伝えたという。 捜査官が2022年2月にタイ・プーケットのホテルで、海老沢被告と組織の仲介者らと会った際に「ウラン精鉱 (イエローケーキ)」などとして受け取ったサンプルを検査した結果、実際にウランやプルトニウムが検出された。 被告は数年間にわたりDEAの捜査対象となっており、捜査官がミャンマーの反政府組織に武器を融通する引き換えにヘロインなどを提供しようとしたとして、2022年4月にニューヨークで逮捕、起訴されていた。 米司法省の幹部は発表文で「核物質を密輸する試みが成功していたら、どんな結果になっていたのかと想像するとぞっとする」とコメントした。   (2024年3月16日号掲載)

グーグル対話AIスマホに チャットGPTに対抗「ジェミニ」

2024年2月9日 グーグルは2月8日、基本ソフト (OS) 「アンドロイド」向けに対話型人工知能 (AI) を簡単に使える「Gemini (ジェミニ)」アプリの提供を開始したと発表した。 ウェブ向けに提供していた対話型AI「Bard (バード)」の名称もジェミニに変更し、高性能版の有料提供も始めた。 性能と利便性を高めて、チャットGPTに対抗する。 グーグルは昨年12月、従来より質問の理解力や回答の正確性が増した最新の言語モデルとしてジェミニを発表していた。 ジェミニアプリは音声アシスタントとしても利用可能で、質問に答えるほか、タイマー設定やスマート家電の操作もできる。 アップルのiOSではグーグルアプリからジェミニに簡単にアクセスできるようにした。 まず、英語で提供を開始し、2月中旬から日本語と韓国語にも対応する。 より高性能な言語モデルを使った対話型AI「ジェミニアドバンス」をクラウドサービス「グーグル・ワン」のプレミアム会員に提供することも発表した。 通常のジェミニよりも長い会話が可能で、複雑な数学の問題などにも対応する。 当初は英語版のみで月額19.99ドル (約3,000円)。 他の言語にも拡大する予定だ。 現在のところ、個人で利用できる代表的な生成AIは、新興企業オープンAIの対話型AIのチャットGPTや、オープンAIの技術を使ったマイクロソフト (MS)...

米/メキシコ国境、中国人移民が激増 カリフォルニア州で3割超「自由求め」

2024年2月14日 昨年来、米国では不法移民の中国人が激増している。 南部国境で1年間に拘束された中国人は過去最多を大幅に更新。 カリフォルニア州では不法入国者の3割以上を中国人が占める国境地帯もある。 習近平体制の強権支配への反発や経済困窮が背景にあり、50日を超える長旅の果てに国境を越えた一家は「自由が欲しかった」と打ち明けた。 * * * * * 1月下旬、CA州ハクンバホットスプリングスとメキシコの国境地帯。 不法入国を斡旋 (あっせん) して手数料を取る闇の業者「コヨーテ (Coyote)」の車数台から約120人が姿を現した。 車内で鮨 (すし) 詰めになっていたのか、台数に対して人数がかなり多い。 「国境の壁」の切れ目から有刺鉄線を潜り抜けて米国入りすると、歓声を上げて抱き合った。 アジア系の姿も目立つ。 移民は壁沿いに1キロほど歩かされた後、ワゴン車などで入管施設にピストン輸送されていた。 亡命申請などを経て解放され、それぞれの目的地に向かうとみられる。 * * * * * 移民を支援するサム・シュルツさん (69) によると、昨年9月頃からこの地域で不法移民が増え始め、12月下旬には1日で約450人が辿 (たど)...

NATOへの米支援不透明、懸念拭えず ミュンヘン安全保障会議、トランプ氏が陰の主役

2024年2月19日 2年となるロシアのウクライナ侵攻が主要議題となったミュンヘン安全保障会議 (Munich Security Conference=MSC) は2月18日、支援先細りへの懸念が拭えないまま幕を閉じた。 最大の後ろ盾である米国の追加支援はまとまらず、会議開催中にウクライナ軍が東部の要衝から撤退。 暗雲が垂れ込める中、11月の米大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領 (77) が会議の「陰の主役」となった。   ▽演出 「同盟国との約束を放棄し単独行動を優先することが、米国民にとって最善の利益であるとする世界観は危険だ。 米国を弱体化させ、世界の安定を損なう」。 会議初日の16日に演説したハリス米副大統領は語気を強めた。 ハリス氏はミュンヘンで、「米国第一」を掲げ、ウクライナ支援に否定的で同盟国を軽視した言動を繰り返すトランプ氏との違いを強調。 議会でのウクライナ支援予算通過もままならず、主導的役割を果たせない米国への不安を打ち消すと同時に、大統領選を見据え国際舞台で自身の手腕を示そうとした。 トランプ氏は共和党候補指名が確実視され、本選で民主党のバイデン大統領 (81) と再対決する可能性が高い。 米国ではバイデン氏の高齢への不安が拡大しており。 ハリス氏は職務継承順位1位の副大統領として自らの能力を誇示し、米国内の有権者にもアピールする狙いがあった。 17日にはウクライナのゼレンスキー大統領と並んで記者会見。 「ウクライナが必要とするものを確実に受け取るようにする計画しかない」と言い切り、強い指導者としての演出を図った。   ▽もしトラ 《もしトラ》という表現が浸透している。 「もしもトランプ氏が大統領に返り咲いたら、一体どうなるのか」。 トランプ氏の支持率は全米でバイデン氏と拮抗...

トランプ氏怒濤の勢い、不安要素は無党派離れ バイデン氏にUAW推薦の追い風、再対決公算大

2024年1月24日 11月の大統領選の共和党候補指名争いで、第2戦ニューハンプシャー州予備選が1月に投開票された。 トランプ前大統領 (77) がヘイリー元国連大使 (52) との一騎打ちを制し、初戦のアイオワ州党員集会に続き連勝した。 指名獲得に大きく前進し、本選で民主党のバイデン大統領 (81) との再対決になる公算が大きくなった。 議会襲撃事件での起訴を逆手に取って保守派を結集。 怒濤 (どとう) の勢いを見せるトランプ氏。 ただ、共和党穏健派や無党派の支持離れが目立ち、11月の本選へ不安も残している。 一方で、11月の大統領選で再選を目指すバイデン氏は1月24日、全米自動車労働組合...

米利下げ3月も慎重、FRB議長 期待牽制、金利維持4会合連続

2024年2月1日 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会 (FRB) は1月31日、金融政策を協議する連邦公開市場委員会 (FOMC) で、主要政策金利を5.25~5.5%に据え置くことを決めた。 4会合連続で主要政策金利の維持となる。 市場では2022年3月からの利上げ局面が終わったとして、早期利下げへの期待が渦 (うず) 巻いているが、パウエル議長は次回3月会合での利下げ期待を牽 (けん) 制した。 FRBは年内に3回の利下げを見込んでいるが、4月30日から5月1日にかけて開く次々回の会合以降になる可能性がある。 日銀はマイナス金利の解除を含めた大規模金融緩和修正に前向きとされる。 利下げは日米金利差の縮小から円高につながりやすく、日米の金融政策は外国為替市場に大きな影響を与える。 FRBは声明で「物価上昇率が...

米車労組、バイデン氏推薦 支持層固め、激戦州の勝敗左右

2024年2月1日 11月の大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領は1月24日、全米自動車労働組合 (UAW) の推薦を得た。 北米自動車業界を代表する大規模労組の支持を固め、選挙戦で追い風となりそうだ。 労組票は激戦州の勝敗に直結する可能性がある。 共和党の候補指名が有力視されるトランプ前大統領の陣営は「トランプ氏こそが米国の労働者の偉大な味方だ」と反発した。 自動車は、激戦が予想される中西部のミシガン州やウィスコンシン州などの主要産業。 AP通信は、労働者票をめぐりトランプ氏と競争を繰り広げるバイデン氏にとって「重要な後押し」になると報じた。 UAWがワシントンで開いた会合で、ショーン・フェイン会長は「バイデン氏は労働者に寄り添っている」と評価。 トランプ氏を「労働者のことを気にも留めていない」と批判。 続いて登壇したバイデン氏は「米国を支えているのは中間層だ」と述べ、賃上げを重視する姿勢を改めてアピールした。 バイデン氏は昨年9月、UAWが本部を置くミシガンを訪問。 現職大統領としてストライキに初参加し、組合員を激励していた。 トランプ氏も同時期にミシガンの自動車関連企業で演説し、巻き返しを図っていた。 UAWは1935年創設。 2020年大統領選でもバイデン氏を支持した。 AP通信によると、約38万人の組合員を擁しており、民主党、共和党支持者がそれぞれ3割、無党派層が4割とされる。 バイデン氏は2月1日、激戦が予想されるミシガン州を再訪し、推薦を得たばかりのUWAの集会に参加。 演説で労働者を重視する姿勢を強調。 共和党の候補指名が有力視されるトランプ氏との対決を見据え、支持基盤となってきた有力労組の票固めを図った。 バイデン氏はUAWのフェイン会長らを傍らに、高止まりしていた物価上昇率が沈静化し、雇用状況も改善しつつあると説明。 「労働者が中間層を形成し、中間層が米国を形成している」と述べ、労働者の生活を底上げする意義を訴えた。 労組票は激戦州の勝敗に直結する可能性がある。 トランプ氏は1月31日、推薦獲得を目指す全米トラック運転手組合の幹部と会談している。   (2024年2月16日号掲載)

イスラエル軍のガザ攻撃、米欧よそに「虐殺」断罪 アパルトヘイト撤廃の南アフリカ提訴、反戦旗手に

2024年1月25日 パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐり、かつてアパルトヘイト (人種隔離) 撤廃に成功した南アフリカが反戦陣営の旗手となりつつある。 親イスラエルの米欧が歯切れ悪い対応に終始するのをよそに、イスラエル軍のガザ攻撃を「ジェノサイド (民族大量虐殺)に当たる」と断罪。 南アの提訴を受けた国際司法裁判所 (International Court of Justice =...

『君たちはどう生きるか』 G グローブ賞 アニメ部門、アカデミー前哨戦

2024年1月8日アカデミー賞の前哨戦と位置付けられる映画賞「第81回 ゴールデン・グローブ賞」の発表・授賞式が1月7日にビバリーヒルズで開かれ、宮崎駿 (みやざき・はやお) 監督の長編アニメ映画『君たちはどう生きるか』がアニメ映画賞を受賞した。2007年に設けられた同賞を日本人監督作が受賞するのは初めて。3月のアカデミー賞ノミネートへの可能性に注目が集まる。宮崎監督作では『千と千尋の神隠し』が2003年に同賞長編アニメ賞を獲得した。宮崎監督は授賞式に姿を見せなかった。『君たちはどう生きるか』を製作したスタジオジブリの鈴木敏夫 (すずき・としお) プロデューサーは「本当にうれしく思う」との談話を発表。能登半島地震の被災地の痛ましい状況に触れて「少しでも笑顔を届けられたら」と述べた。作品の舞台は戦時中の日本で、主人公は火災で母親を亡くした少年。父親の再婚相手となる女性が行方不明となって捜す中、アオサギの案内で不思議な世界に迷い込むストーリーだ。作曲賞には『君たちはどう生きるか』の音楽を手がけた作曲家の久石譲 (ひさいし・じょう) さんがノミネートされていたが、受賞は逃した。作品賞は、ドラマ部門が原爆開発を主導した米物理学者の伝記映画『オッペンハイマー』、ミュージカル・コメディー部門はベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作『哀れなるものたち』が受賞。新設の「興行成績賞」はバービー人形が題材の「バービー」が獲得した。マーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に出演した米先住民出身の俳優リリー・グラッドストーンさんは、ドラマ部門の主演女優賞に輝いた。米映画誌によると、先住民出身の俳優がゴールデン・グローブ賞を手にするのは初めて。アニメ映画賞には、新海誠 (しんかい・まこと)...

米政府、台湾「独立支持せず」 頼清徳氏当選で対中配慮 

2024年1月14日台湾総統選で中国が独立派と見なす民主進歩党 (民進党) の 頼清徳 (らい・せいとく) 氏が当選したことを受け、バイデン大統領は1月13日「私たちは独立を支持しない」と記者団に発言した。米中関係の安定化に配慮したとみられる。一方、中国政府は同日、頼氏当選に反発し「台湾は中国の一部」として統一を目指す立場を改めて強調した。習近平 (しゅう・きんぺい) 指導部は外交や軍事、経済の分野で民進党政権に圧力をかけ続ける構えだ。また、在日中国大使館は14日、上川陽子 (かみかわ・ようこ)...

紛争、格差・・・課題山積の2024年大統領選 テクノロジー進化、求められる情報見極める力

2024年1月15日大統領選まで約300日。結果は紛争や格差など課題が山積する国際社会に大きな影響を与えるため、再選を目指す民主党現職のバイデン大統領と共和党候補指名争いで優位に立つトランプ前大統領の一挙一動が耳目を集める。論壇各誌では米国の現状を分析する論考が目についた。* * * * *
九州大名誉教授の菅英輝 (かん・ひでき) は「『ふたつの戦争』と米国の世界戦略」 (『世界』2024年1月号) で、ロシアのウクライナ侵攻 (2.24戦争) と、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの、イスラエルに対する奇襲攻撃 (10.7戦争) を「ふたつの戦争」と位置づけた。
2.24戦争では対ロシア制裁を、10.7戦争ではイスラエル支持を表明している米国。菅はこれに米中対立も加えて「三正面」という表現を用い、「米国の資源には限りがある」「三正面に対処する能力があるか否かが問われる事態」とする。* * * * *バイデン政権下では日本への「さらなる役割分担要求が強まる」一方、大統領選でトランプ氏が再選された場合「米国第一主義」の復活で日米同盟などを揺るがすディール外交が展開され、日本は「『見捨てられ』の危険にも対処しなければならない」とし、日本が取るべき姿勢を問う。
『表現者クライテリオン』...

「CES」で新製品発表、AI 対応半導体投入の新車 ソニー・ホンダと MS 提携、開発中の EV「AFEELA」にも

2024年1月13日1月9日~12日にラスベガスで開催された世界最大級の家電IT見本市「CES」では、先端技術を搭載した家電や自動車のほか、製品やサービスの機能を支える半導体分野でも人工知能 (AI) に関する展示や発表が相次いだ。米半導体大手インテルはAIに対応した半導体を自動車向けに投入する計画を発表。利用者の指示で文章や画像、音声を作り出す生成AIブームを背景に、半導体各社の間でAI対応の競争が激化している。*  *  *  *  *家電分野では、パソコンでAIが効率的に処理できるようになる半導体を開発したインテルが、この技術を車に適応させることで、音声アシスタントや車内でのビデオ会議がスムーズに行えるようになると発表。車載半導体分野で競合関係にあるクアルコム (本社:サンディエゴ) などに対抗する考えを明らかにした。このほか、米エヌビディアはCESの一般公開に先立つ1月8日にパソコン用の画像処理半導体 (GPU) の新製品を発表した。高精細な画像などの処理が速くなることで、これまで主にデータセンターで利用されてきた生成AIをパソコン上でもスムーズに操作できるようになる。*  *  *  *  *自動車では、ソニーとホンダの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティ (本社:東京) が1月8日、マイクロソフト...

バイデン氏攻勢、景気堅調も実感薄く Bidenomics に冷淡な米国市民

2024年1月1日米国民の間で、堅調な景気への実感が広がっていない。今年11月の大統領選で再選を目指す民主党の バイデン大統領 (81) は、統計の数字を示しながら経済回復をアピールするが、生活苦に喘 (あえ) ぐ市民は「ウソだ」と冷淡な反応を示す。楽観的な展望を語る共和党のトランプ前大統領 (77) が返り咲くことへの待望論も根強い。▽再三の訪問「私はマイノリティーのビジネスを最優先にする」。年末の12月20日、激戦が予想される中西部ウィスコンシン州の最大都市ミルウォーキーの黒人商工会議所。人種差別的な言動が目立つトランプ氏との違いを熱弁するバイデン氏に、百数十人の聴衆が拍手を送った。傍 (かたわ)...

トランプ氏の司法判断焦点、出馬資格めぐり選挙戦左右も 憲法修正第14条第3項「反乱加担者は官職に就けない」

2024年1月1日今年の大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領の刑事、民事訴訟で、連邦最高裁の判断が焦点となっている。州予備選の出馬資格の有無や、議会襲撃事件での大統領免責特権適用の是非に関する判断が示されれば、選挙戦を左右する可能性がある。1月15日に開かれる共和党候補指名争いの初戦、アイオワ州党員集会まで2週間余り。政策論争は低調で、支持率で独走するトランプ氏の法廷闘争に注目が集まる異例の事態となっている。トランプ氏は2020年大統領選の敗北を覆そうと画策し、支持者を煽 (あお) って2021年の議会襲撃を引き起こしたとして起訴された。コロラド州最高裁は12月19日、反乱に加わった者は官職に就けないと規定する憲法修正第14条第3項が適用されるとして、トランプ氏は州予備選に出馬できないと判断した。「私は反乱者ではない! ペテン師のバイデンこそが反乱者だ」。トランプ氏は1月21日、反乱に関与したとの判断は間違いだと自身のソーシャルメディアで訴えた。徹底抗戦の姿勢を示し、支持率はさらに上昇した。メイン州のシーナ・ベローズ州務長官 (民主党) も12月28日、同様の理由で同州予備選の出馬資格剝奪を発表した。ベローズ氏は「トランプ氏は選挙に不正があったとの虚偽の主張で支持者を焚 (た) き付けた」と結論づけた。トランプ氏陣営は声明で「選挙を盗み、米国の有権者の権利を奪おうとしている」と反論。今回の措置には共和党だけでなく民主党からも疑問視する声が上がり、メイン州選出のジャード・ゴールデン下院議員 (民主党) は声明で「米国は法治国家であり、有罪になるまでは投票用紙に残すべきだ」と指摘した。トランプ氏の立候補資格剝奪を求めた他の訴訟では、ミネソタ州最高裁とミシガン州最高裁が請求を棄却。コロラド、メイン両州の判断の是非は、最終的に連邦最高裁に委ねられるとみられる。議会襲撃事件を担当するジャック・スミス特別検察官は連邦最高裁に対し、大統領の免責特権適用の是非に関する審理を急ぐよう重ねて要求したが、連邦最高裁は高裁の審理を待って判断する方針だ。3月4日にワシントンDCの連邦地裁で予定される初公判を前に、駆け引きが激化している。トランプ氏は在任中、連邦最高裁に保守派判事3人を送り込んでおり、自身に有利な判断を示すことを期待しているようだ。▪︎アメリカ合衆国憲法修正第14条第3項...

NYタイムズ、オープンAIとMS提訴 著作権侵害、無断利用の損害賠償

2023年12月28日大手メディアのニューヨーク・タイムズ (NYT) は12月27日、記事の無断利用で著作権を侵害されたとして対話型人工知能 (AI) 「チャットGPT」を開発した新興企業オープンAIと提携先のマイクロソフト (MS) を相手取って損害賠償を求める訴訟をニューヨークの裁判所に起こした。米主要メディアがAI開発企業を著作権侵害で訴えるのは初めて。訴えによると、チャットGPTや、MSの対話型AI「コパイロット (Copilot)」が NY・タイムズの記事を許可なく学習し、詳細な要約や抜粋を回答することによって、購読料や広告収入が損なわれたと主張。こうした「タダ乗り」の損害額は数十億ドル...

銃撃事件、日本人女性が犠牲 ラスベガスの大学准教授

2023年12月9日ネバダ州のネバダ大ラスベガス校で12月6日に起きた銃撃事件で、死亡した3人のうち1人が同校で日本語などを教えていた日本人准教授タケマル・ナオコさん (69) だったことが8日に分かった。大学などが明らかにした。タケマルさんの同僚であるマーガレット・ハープ准教授は8日の記者会見で「悲しみに打ちひしがれている」と声を詰まらせた。タケマルさんは日本語の学習プログラムを作成するために2003年、大学に雇われたと明かした。「学生のやる気を引き出すのが上手だった」と偲んだ。バイデン大統領は同日、ラスベガスで演説し、全米で銃犯罪が後を絶たない現状を「異常だ」と厳しく非難し、銃規制強化を訴えた。下院多数派を握り、銃擁護ロビー団体の支援を受ける共和党に、建設的な議論に応じるよう強く求めた。サンフランシスコの日本総領事館は「家族や関係者と連絡を取り支援していく」とコメントを出した。死亡した他の2人は64歳と39歳の教授ら。大学はホームページに3人の写真を公表し「決して忘れない」と追悼した。事件は12月6日の日中に発生。ラスベガス近郊に住むアンソニー・ポリト容疑者 (67) が拳銃を発砲後、駆け付けた警察官に射殺された。*Picture:© Ken Wolter / shutterstock.com(2024年1月1日号掲載)